KIBIRE the First 2回目の挑戦<春の大潮前の中潮>
【神 託】
ウェーダーやライフジャケット、フライ。
普段は使わないハリスや防水のボックス。
トレッキングポールも。
数日前から淡々と準備を進めながら久々の感覚。
所謂「釣りに行く前の高まり」などと言うと聞こえが良いが、
実際のところは育ち盛りの子を抱えた身分で、
週末に自分だけの釣りの時間を作るのは至難の技。
皿を洗い、風呂を磨き、代償を払う。
そしてカミ様と子らへ数回の神託を経てようやく、
日曜の午前中だけの自由時間を確保。
車止めから歩きながら前回初めて竿を継いだ時のイメージを思い出す。
キビレだったかどうか分からないけど唯一当たりのあった、
「場所」「タイミング」「仕掛け」「フライ」もしかしたら「タナ」。
だいたいの辺りで水辺へ降り、
おおよそ決めていた場所へ向かって入ることが出来た。

【ルーティン】
トレッキングポールでトン、トン、トン。
前方を、左・真ん中・右と言った具合で3回突いて1歩すり足。
後ろには下がらない。
エイが居ると言う話なので、
この基本ルーティンを絶対に忘れないよう緊張しながら進む。
浅場の膝までの土色を抜けて薄濁りの本流筋へ。
偏光グラスを通して辛うじて見える足先。
足の指の裏で感触を確かめながら、
一歩づつゆっくりと水中の砂の”尾根”を探す。
踏み外したり所謂「柔らかい」方へ行ってしまうと、
土に足を取られ体が沈む。
しかしウェーダーのおかげで浮力もあるから、
少しくらい沈んでも焦らずゆっくりルーティンを繰り返す。
瓦礫や杭、牡蠣殻や藻の筋。
砂や土が駆け上がりや流れの強弱を作り出してるようで、
肩や流れ込みや払い出し、水の中を歩いてみると、
かなり複雑に変化に起伏に富んでいて、
魚がどこを通るのか妄想ばかりが膨らむ。
【一投入魂】
「投げ直しはしない」と決め、
真横にシュートして本流の流れに乗せて流す”スイング”と”放置”の縛り。
歩いてはキャストを繰り返す。
たまにボラや小魚の群れ、遠くで跳ねる魚。
シーバスらしい魚も。
生命感が溢れている。
貸し切り、自分だけの川で気を使わずに思いっきりキャスト。
いい感じ。
しかし何も反応なく2時間ほど過ぎて集中も絶え絶え。
潮も緩んできてミスキャストも増えてきた。
ダメな気配がしてきたけど、
この先またこの場所にすぐ戻って来れないだろうし。
【皿洗い】
握ってきたおにぎりをリュックから取り出して、
ポカリで流しこんで一息。
直ぐに気を取り出して集中することに。
前回と今回を比べる。
まだ試してない事を思い出し、仕掛けを微調整。
移動はやめて”杭”になる。
キャストの回数を減らして、
慎重に確実なシュートからの”スイング放置”を繰り返す。
潮が緩んだのと仕掛けがうまく同調したのか、
スイングの最中にたまに”コツっ”と、
ボトムの小さなストラクチャか何かに、
フライが当たるようになってきた。
しかし時計も気になりだして、
”スイング放置”に”祈り”も組み合わせた最終型。
終盤。
潮位のリスクもあるから、もう切り上げなければならない。
どういうタイミングだったかはっきりとは覚えてないけど、
暫し間を置いてラインを手繰ると、いきなり生命反応。

慎重にやりとりを堪能してネットに入ったのは綺麗な銀鱗。
”The first”
余韻に浸る暇もなく急いで帰って、
買い物や諸々付き合い、
子を風呂に入れて晩飯の後に皿洗いまでしたのは、
言うまでもなく。
Rod:Biocraft XTR 7
REEL:HARDY
LINE:SA WF
FLY: Polar magnus